卒業試験の選曲に苦慮する


(ルナピンスキーはモナチンの扱いに苦慮している)
 バロック時代は『音楽の捧げもの』で決まった。古典派は本当はしたかったモーツァルトのフルート四重奏が却下させたので、本当に選択肢が少なくなった。山ちゃんはそれでもしてみたい曲があった。理由は本当にいい曲だからだ。しかし自信はもてなかった。一つはけっこう難しい曲である事。もう一つはアヒレス先生からまた却下させるかもという懸念だ。その曲はクーラウ作曲の『ウェーバーのオイリアンテの主題による序曲と変奏曲』だ。これはウェーバーというドイツ国民楽派の作曲家のオペラ「オイリアンテ」の中の美しい主題をクーラウというデンマークの作曲家が変奏曲にしてそれに序曲をつけたもので、それはそれは美しい曲だ。(この説明でわかった〜?ルナピンスキーは何のことかわからなかったぞ!)山ちゃんはそれをダメもとでアヒレス先生に相談したら「おお、それはいい曲ではないか!賛成だ。」と言われた。でも、コンサートで古典派の曲を上手に演奏するのは大変に難しいし、かりに上手く演奏しても、いい評価をもらうのは大変な事だから、翌日のレパートリー試験で演奏する事にした。意外にもアヒレス先生があっさりと同意してくれたので山ちゃんは調子にのる事にした。実は山ちゃんはロマン派の作品で演奏したい曲があったのだ。それはドイツの作曲家ライネッケのフルートソナタ『オンディーヌ(水の精)』だ。それには理由があった。山ちゃんはドイツの作曲家ブラームスをこの上なく愛している。ブラームスはフルートの曲を創っていない。以前、ブラームスチェロソナタ第1番やヴァイオリンソナタ第3番をフルートで吹いていたらアヒレス先生から怒られた事もあった。ならばだ、せめてブラームスと同じ頃の作曲家で作風も彼らの師匠のシューマンにも似ているライネッケにしようという訳だった。ただこの曲はドイツのフルートの名曲なので多分先生は許可しないだろう。ダメもとで先生に言ったら即OKがでた。これはラッキーだ。もちろんコンサートステージで演奏する事にした。