ブラチスラバの街歩き


(私たちもブラブラ歩くのが好きよん❤)
 翌朝医学大学の寮を出た山ちゃんは、プラハ行きの夜行まで時間が、タ〜プリあるので、ブラチスラバの街をブラブラする事にした。前にも書いたが、とにかくこの街は観光的な街ではなく、しかも面白いものがなかった。スーパーやデパートには物も無く、街全体が活気が無かった。(25年前の話である。)かろうじてビールを購入して飲んだ。ビールは350ml瓶で120円程度だった。安いと言えば安いが、この国の物価を考えると、そんな高級な酒を飲む人は少ないのだろう。人々はウォッカなどを飲んでいた。話は変わるが、日本人はなんて贅沢なんだろうと思う。お酒が本当に高い。焼酎だって今日では日本酒並みに高いではないか。これがヨーロッパだったら、それがドイツでも暴動がおこるだろう。
 さて、ビールを機嫌よく飲んでいた山ちゃんに、年配のおじさんが話しかけてきて一緒に飲んだ。当初は警戒していたが、悪い人ではなさそうだ。つまり山ちゃんにたかってくる訳ではなかった。
 暗くなって(4時ごろだが)彼が家に来いと誘ってくれた。プラハ行きの夜行は夜中の10時頃出発なのでまだ時間はある。山ちゃんは彼の家に行った。家は一軒家ではなく寮みたいな所だった。やはり受付があっておばちゃんがいた。彼はおばちゃんと押し問答して(おそらく外国人を部屋に入れてはならないとおばちゃんが言ったが、彼は山ちゃんは友達だと言い返していたようだった)結局山ちゃんは受付にパスポートを預けて入室が許可されたのだった。ロビーで、彼は同僚に山ちゃんを紹介した。「同じアジアからの友人だ!」その人は明らかに不遜な態度で顔をそむけて山ちゃんと握手した。朝鮮人と紹介してくれたが、おそらく北朝鮮の人だったのだろう。おじさんは彼も部屋に誘ったがさすがに彼は拒否をした。しかもおじさんをたしなめていた。
 おじさんは部屋で山ちゃんと飲んでいたが、だんだんと酔っ払ってヤバくなってきた。つまりこんな具合だ。「チェコポーランド?ロシア?」と言って唾を吐きかけた。「イタリー、アメリカ、おおビバ!」と言って喜んで拍手をした。「ジャポン?おおブラボー」なんて大きな声で言っている。ここは東欧だ。山ちゃんは本当にヤバいなあと思っていた。しばらくして彼は酔いつぶれて眠った。山ちゃんはこれ幸いとばかり、その寮を後にした。受付でパスポートを返してもらえるかだけが気がかりだったが、あっさりと返してくれた。ようするにそこでは山ちゃんが厄介者だったのだ。
 山ちゃんは少しだけ時間をつぶして、駅からプラハ行きの列車に乗り込んだ。車内はhぼとんど人がいなかった。コンパートメント(6人掛け部屋)に一人占めすると横になって爆睡した。