プラハでの悲しい大晦日


(大晦日はやっぱり雪遊びやろう)
 スロバキアの首都ブラチスラバから夜行列車に乗ってプラハに向かった山ちゃんであった。飲んでいた山ちゃんは列車内ですぐに寝てしまった。
 さて、これからの話は映画のような場面として記憶に今でも鮮明に残っているのだそうだ。(そんな話ばかりのような気もするが・・・ルナ)
 騒々しさに目を覚ました山ちゃん、目を開けように眩しくて開けられない。どうやら懐中電灯を山ちゃんの顔に向けて当てられていた。2人の車掌らしき人物が山ちゃんに怒鳴っていたらしい。どうやら終点のプラハに着いたらしい。車掌たちに追い立てられるように列車の通路を早歩きで通り(確かに乗客は誰もいなかった)ドアから外に出ようとして、びっくりした。
そこは駅ではなかった。周りを見渡すと列車がずらっと並んでいたので、どうやら機関庫のようだと判断した。ありえない事だが、東欧が初めてでない山ちゃんはありえた事を受け止めた。列車から飛び降りて、そこでしばらく考えた。その結果、線路をつたって歩く事にした。外は真っ暗だった。外灯もなかった。
 山ちゃんは列車が来たらすぐ逃げられるように、用心しながら線路を歩いた。線路には駅がつきものだ。30分程度歩くと小さな無人駅に着いた。駅名は『プラハ=ナントカ』だった。ナントカは小さな町の名前だろう。つまりプラハ近郊の駅のようだった。時間は約5時半だった。ホームにある時刻表を見ると6時過ぎにプラハ中央駅行きの第1便がくるようだ。外はまだまだ暗い。やがて列車が来て山ちゃんはやっと、プラハ駅に着いたのだった。
 以前に書いた事があるが、山ちゃんは初めての街に着くとまず駅の近くにあるマクドナルドへ行って、ハンバーグとコーヒーを頼む。それでだいたいその国の物価がわかるのだ。ちなみに25年前物価が高かったのはスウェーデンだった。コーヒー一杯が約800円だった。そこで地図を広げて計画をたてた。
 話を戻そう。ところが東欧にはマクドナルドなんてないのだ。駅では早朝から開いているパン屋さんや喫茶店も開いていない。コーヒーは存在しないのだ。
しかたがないので、暗い街中をブラブラする事にした。空は暗いが街も都会とは思えないくらい真っ暗だった。