山ちゃん、スランプになる。


(高校生になったフーガ君と一緒に❤)
 秋からフルート探しの旅を始めた山ちゃんだが、なかなか見つからなかった。旅費などで結構お金はかかったが、いろいろなフルートが吹けて大変に勉強になった。それに普通だったら行かないであろう町に行けた事もいろいろな楽器店やいろいろな人に会えたのも楽しかったらしい。だが、本業であるフルートの勉強がままならないようになった。別に練習をさぼっていたわけではなかったが、練習に集中できなくなってきていた。その時は自覚がなかったのだが、うまくいかないと楽器のせいにしていたかもしれない、と山ちゃんは言っている。だんだんとスランプになっていった。つきなみな言い方だが「スランプは上手な人がなるものだ。」と、山ちゃんも思っていたのでスランプとは思っていなかった。練習量も減っていなかった。
だがフルートが思うように鳴ってくれない。もちろんフルートが良くないと言われていたが、それでもこんなに鳴らなかった事は過去になかった。やはりスランプなんだろう。
 ある日、日本人留学生のピアノ伴奏者が山ちゃんに言った。「あなたは、そのフルートに不信感を持ったから鳴らなくなったのよ。新しいフルートが見つかるまで、今までお世話になったそのフルートに感謝の気持ちを持って吹くべきではないの?」まったくそのとおりだった。それからはまた調子を取り戻して頑張ったそうだ。今日は山ちゃんがいかに単純な男であるかの話でした。(ルナピンスキー)