楽器店へ行く


(ルナピンスキーはいつもおりこうさん)
 山ちゃんが暮らしていたデトモルトにも楽器店があったのだが高価な楽器なんてそう置いてあるものではない。そこで音楽雑誌『オーケストラ』の広告の中からまず都会にある楽器店に行く事にした。そこで最初に行ったのがハンブルグだった。デトモルトからハンブルグまで鉄道で約4時間かかる。普通に考えるとその移動が大変なようだが本来旅行好きな山ちゃんにとっては半分旅行目的でもあった。ハンブルグの楽器店では3本位試奏したと記憶しているらしい。で、結局いい楽器はなかった。
 なんだかんだで山ちゃんは秋から春にかけて楽器選びの旅をしたのだが、実ははっきり覚えていないところもある。というのが、有名でない小さな町の楽器商人がけっこういるのだ。そういう人は特定の1つのメーカーのみ取り扱っていたり、とっておきの1本しか持ってなかったりする。だからそんな町の名前はぜんぜん覚えていない。記憶の片隅には、小さな町の宮殿だったり公園であったチャウチャウ犬であったりする。
 山ちゃんは結局楽器選びの旅費だけで30万程度は使ったそうだ。だが山ちゃんは、たくさんのいろいろなフルートを吹いておく事が確実に自分の楽器に対する感性を伸ばすことになった、と言っている。
それで最終的には、つまり「この楽器にしようか」と候補にあがった楽器が2本あった。いや、一度に2本候補にあがったのではないから、2回あったと言わなければならない。その2回の話はまた明日!