山ちゃん、大型犬に好かれる❤

 山ちゃんは大型犬が好きなのだが、本人が自覚したのは先代犬、バーニーズマウンテンドックのムンをペットショップで初めて見た時だった。一目惚れで家へ連れて帰ったらしい。47キロあったらしい。その後がライヴィッチだ。来た時は30キロを切る位だったらしいが今や45キロにまで太らされた。すっかりデブ犬だ。私も来た時は38キロだったが今は54キロだ。だが、ライヴィッチとちがって私はナイスボディを保っている。
 さて、ドイツでは野良犬がいない。飼い主がしっかりと管理されている。だから公園もリード無しでウロウロさせていても文句を言われない。それどころか、カフェやレストランも連れ込みOKだ。列車の中や地下鉄内も連れ込みOKなのだ。さすがに狩猟民族だ。だからいろいろな犬がいたし当然大型犬もいっぱいいた。デトモルトで通ったドイツ語教室のおばあちゃん先生はいつも犬を連れていた。アイリッシュ・セターだと記憶している。山ちゃんは今でこそ犬に詳しくなったが、その頃は「犬は犬」という認識だった。
 その山ちゃん、ある日大型犬に好かれてしまった。
寮から町中へ出かける途中ゴールデンレトリバーが、じゃれて飛びついてきた。遊んでいるのはわかるが、でっかいしちょっとこわい。しかもそいつはとってもしつこい。何回も飛びついては上に挙げた手に甘噛みしてくる。しつこいしこわいし、早歩きで町へ向かうのだけどその犬はずっとついて来た。もちろん飛びかかりながらだ。周りの人たちも「遊んでいるのか?何してるんだ?」と見ている。山ちゃんは町中に入ったがその犬も諦めず飛びかかる。とうとう山ちゃんは
町の反対側にいる日本人の友人の所へ飛び込んだ。外を見るとその犬はまだいる。しばらくして見るとまだいた。結局知り合いの車を呼んで乗って帰る事にした。車が来て山ちゃんが外に出るとその犬、喜んで飛びついて来た、あげくに山ちゃんよりも先に車に乗ろうとする。その犬を引きずり出してようやく寮へ帰ったそうだ。やれやれだった。
後日、その犬は中華レストランで飼われていた犬だとわかった。山ちゃんを中国人の友達だと思ってついてきたのだろう、という事だった。迷惑な話だった。