デトモルトのクロウタドリ


クロウタドリってどんな鳥?)
 山ちゃんがデトモルトに来た時にあった、たくさんの感激した事の一つがクロウタドリだった。この鳥はスズメと小鳩の中間位の大きさで、飛んでるというより庭をウロウロしていたという印象だった。ヨーロッパ3美鳴き鳥の一羽で、あとはロビン(ヨーロッパコマドリナイチンゲール(夜鳴きウグイス)がいる。
山ちゃんは、デトモルトへ来て早々、クロウタドリが鳴いているのに感激し、見ると庭を数羽のクロウタドリがウロウロしているではないか。その後どこにでもこのクロウタドリはウロウロしながら鳴いていた。
 山ちゃんは別に鳥に詳しい訳ではない。では何故クロウタドリの鳴き声がわかったかって?
 山ちゃんは、日本の音楽大学の卒業試験でメシアン作曲の「黒つぐみ」を演奏した。山ちゃんはその際、黒つぐみを調べた。すると中国以西に生息する鳥だとわかった。メシアンは作曲した年はまだ日本に来た事はなく、日本で「黒つぐみ」と書かれたこの曲は「クロウタドリ」だとわかった。そこで今度はクロウタドリの鳴き声の録音をいつも聞いていた。だからデトモルトにきてすぐにクロウタドリだとわかったのだそうだ。山ちゃん曰く「今でこそメシアンの曲を『クロウタドリ』と記す演奏者がいるけど、当時みんな『黒つぐみ』として演奏されていた。日本で最初に『クロウタドリ』記して演奏したのは僕だよ!」だって。ルナピンスキーは言ってやった「だから何〜?」
 クラシック音楽の翻訳のミスは時々あるようだ。有名なところでは、ドビュッシーの「金の魚」は昔は「金魚」として演奏されていた。
 あと、根拠のないタイトルをつけられている曲はまだまだたくさんある。『運命』や『英雄』もそうだが、仕方がないところではある。ショパンの「革命」や「雨だれ」などもそうだが、タイトルをつけると、楽譜が売れたらしい。日本ではタイトルのある曲の方が観客を動員できるのだろう。もうドイツでもベートーヴェンの第5番の交響曲を『運命』と記してはなかった。だから、ドヴォルザークの8番を「イギリス」としたりショスタコヴィッチの5番を「革命」とするのは論外なんだろう。しかし、有名な漫才師がネーミングした『クソ婆のいっしょうけんめい』というパン菓子がその名前だけで大ヒットするのだ。だから、誰とは言えないが『ハゲの憂鬱』とか『デブの無邪気』とかタイトルをつけた方が売れます〜?いえいえクラシックですからねえ・・・でもでも時代が変わりましたよ!