山ちゃんがエイズ?風評記


(病気になったら寝ときましょう!ルナ)
 旅の終わりには異変に気が付いていた。靴づれならぬサンダルづれで血が出ていた所がプツプツと水疱瘡のような水疱が出てきていた。多分傷口から菌が入って被れたのだろう、程度に考えていた。
 予定通りデトモルトへ帰って来た。疲れたのですぐにベットで眠った。爆睡だった。
 翌朝起きて鏡を見て・・・ビックリだった。昨日まで足にあった水疱が顔中にあった。着替えてなかったと服を脱ぐとさらにビックリ!体中にその水疱が発生していた。なんだかだるい、熱もあるみたいだった。
 近所にいた同郷の留学生の大先輩に、夕食の差し入れをお願いした。(夕食というから当然女性だ)
夕方ノック音が聞こえてドアを開けると、その女性Yさんの表情が急変した。彼女は「これ、ここに置いていくからね。」と言って去って行った。
翌朝、立てない位にきつかった。でもなんとかしなければと、廊下にY君が通る音が聞こえる。(Y君は一緒にスペインへ行った仲だ)なんとか廊下へ出てY君へ一言「熱だ出たみたいだ。」言ったのだけど、Y君「お大事に!」と深く頭をさげて自室へ引っ込んだ。
(ちなみにY君は一緒にスペインへ行った仲だった)
 昼、デトモルトのパパF氏が突然やって来て「バ〜カ野郎!みんなが心配しているし、今妊娠している日本人が多いのだ。早く病院へ行かんか!」と言って、車で無理やり病院へ連れて行ってくれた。
 結果、『子供の病気』という事で水疱瘡だとわかった。その時は熱で死にそうだったが、病院の女医先生の「1週間は安静」との指導を受けて帰って寝た。
 それだけのエピソードだったのだけど、その時の下界での(寮は丘の上だったので、山ちゃんは、町を下 界と呼んでいた。)騒ぎを編集してみる。

同僚のK君の証言
『お前、みんながエイズになって帰って来た!って、 噂でもちきりで大変だったんだぞ!もう死ぬかもし れない!という噂だったし、どうしようかとF氏に お願いしたんだぞ。ありがたく思え!』
K氏の証言
『バ〜カ野郎、今3組の夫婦が妊娠しているのに、何 やってんだ!エイズならエイズで早く病院へ行かな ければダメだろうが!』
最初に夕食を差し入れてくれたYさんの証言
『ドアを開けてびっくり、今だから言えるけど、本当  に気持ち悪かった。』(わかるわかる・・ルナ)
Y君の証言
『そうだったんですか?大変だったですね。』

山ちゃんは数日おとなしく寝ていたそうだ。