ドイツ、オルガン探訪の旅


(これはパイプの穴ではないのだよ)
 山ちゃんは、まだ10日程度有効な鉄道乗り放題チケットを使ってドイツ国内オルガン探訪の旅に出た。
相棒は日本の音楽大学の同期生で、その当時クリーヴランド(国じゃあないよ、アメリカの街だよ)に留学していたSさんだ。
 既に記したが、Sさんとは大学時代の彼女でも友達だった訳でもなかった。単純にオルガンを一緒に見ないかと誘われたので同伴したのだ。そんな関係だから
彼女はホテル、山ちゃんはユースで泊まり、時には移動も別々だった。山ちゃんにとって夜行を使った方が宿泊費がかからなくてよかった。もちろん、寝台車を使った事も無い。ドイツの夜行列車は、コンパートメントという6人一部屋になっているタイプが多く、運がいいとその部屋に誰もいなくて、対面同士のシートを引き出すと簡易ベットのようになるのだ。
そんな感じで、フライブルグやハンブルグなどのオルガンを見て回った。正直言ってなどがどこの街のオルガンを見たのかは覚えていない。ドイツでは小さな町にも立派な教会はあるし、オルガンの名器なんかもある。とにかく6つの都市や町のオルガンを見たり聴いたりした。全部Sさんのアポでオルガンの日本人留学生やオルガンの教授に会ったりもした。そして、最後はSさんと別れて一人デトモルトに帰った。
(トルコ、ギリシャの旅に比べて、なんとあっさりした紀行誌ではないか。手抜きではないか?お前音楽家だろう?・・・ルナピンスキー)
 山ちゃんは旅先ではとにかく、よく歩く。サンダルで歩いていたので、サンダルづれで足にタコができ、夜は血が出た。朝はその足が大変痛かったが、すぐに麻痺して馴れてまた歩いた。そして夜は血が出るっという繰り返しだった。それがデトモルトに帰ってから大変な事になろうとは旅中思ってもいなかった。