いざミケーネの遺跡へ


(僕はミケ〜ネコではないのだ。モナカだよ)
 山ちゃんは当然ギリシャ語はわからないし、ギリシャ文字は何が書かれているかもわからない。だから、レストランでもメニューが読めないのだ。観光地のレストランは英語メニューがあるが、小さな地元民が入るようなレストランはそんな気のきいたメニューもない。山ちゃんは金がないからそんなレストランを選んで入る。で、どうするかというと、周りの客で美味しそうな食べ物を見つけて『あれをくれ!』と指をさすのだ。トルコでは厨房まで行って指さしたそうだ。
でもギリシャでは困った時の呪文があった。『武蔵つぶやき』だ。これはギリシャの代表的な料理で『ムサカ・スブラキ』だ。(う〜ん無理があるのではないか〜ルナ)ムサカはひき肉とナスを使った料理でイタリアンのラザーニアに似ている。スブラキは牛肉の串焼きだ。どちらもどこでも大変美味しく頂けたのだ。
 さて、山ちゃんは鉄道でオリンピアからミケーネへ向かった。ミケーネ駅は日本のローカル駅よりも小さかった。でも宿直室のような駅舎があり、その窓から40代の日本女性が顔を出して話しかけてきた。昨晩駅長と意気投合してそのままこの駅舎で泊まったのだそうだ。その駅長が男か女か?この駅舎で夜を駅長とどう過ごしたかなんて野暮な事は聞かない。旅をするといろんな日本人に会う。
 ミケーネはシュリーマンが発見した有名な遺跡だ。誰もが空想の話だと思っていたホメロスの『オデッセイア』を信じて実業家になりお金をためてその全財産を発掘に使ったというその遺跡だった。日本では個人で卑弥呼邪馬台国を発掘するようなものだ。いや、空想だと思われていたのだから、日本でいうと竜宮城を発掘するようなものだったのだ。すごい事だったのだ。だから彼が考古学者ではなく素人だったから、でたらめの発掘で貴重なお宝な発掘品が散財してしまったからといって誰も文句は言えない。
 遺跡は門や壁も復元されていて古代の大規模な空間が感じられ、シュリーマンの情熱も感じられただただ圧倒され感動した。さて、これで山ちゃんの遺跡巡りも終え、アテネからデトモルトへ帰る事になるのだが、もう少しこの旅の思い出話があるようだ。それだけ遠くまで来たという事だった。