地中海文明クノッソス宮殿へ


(これはミノタウロスの鼻じゃ〜)
 山ちゃんはクノッソス宮殿のある遺跡へ行った。
アーサー・エヴァンズの胸像があった。確か歴史で、有名なシュリーマンと違ってエヴァンズは考古学者だったから発掘もきちんとなされ、その貴重な遺品も散財することがなかった、と記憶していた。確かにクノッソス宮殿は素晴らしかった。地中海と空のブルーに合わせるように宮殿の遺跡の壁画は鮮やかな色彩に富んで、古代遺跡だとは思えない位、リアリティをもって山ちゃんの魂に迫って来た。この宮殿はギリシャ神話に出てくる、牛の顔を持った怪物ミノタウロスの宮殿だった。という伝説よりも、実際にここに文明が存在していた事実の方が山ちゃんにより大きな興奮をもたらし、それが足元に広がっている感動は相当なものだった。歴史の教科書や資料で見たかすかな記憶に残っていたイルカやタコや様々な魚が目の前の壁に躍動していた。当時の人々が暮らしていた大きな甕がある部屋を上から目線で眺める事が出来た。山ちゃんはギリシャの旅を『遺跡の旅』にする決心をした。
 ギリシャ本土へは大きなフェリーで渡った。地中海は本当に飽きるくらいに美しかったし、フェリーから眺める地中海は、多くの島々が現れては離れていき、山ちゃんは飽きることなくデッキに立って見ていた。
 そしていよいよ首都アテネへ向かったのだった。
港からはバスでアテネへ行った。だんだん街らしくなってきたと思ったら、小高い丘の上にあのパルテノン宮殿が見えた。感動〜!!のはずだったが、今までの旅が感動の連続だったせいか、感動疲れ?か、「ああ、あれがパルテノン神殿かあ〜!」くらいの確認的感動だった。しかしここからいよいよ遺跡の旅が始まるのだ。山ちゃんはパルテノンの丘へ登った。