バスで首都アンカラへ


(ルナピンスキーはトルコ顔?その2)
 山ちゃんは今でも後悔している事がいくつかある。
その一つが、イスタンブールでの出来事だった。
 同行していたW氏は大の鉄道ファンだった。山ちゃんは旅は好きだが鉄道ファンではない。確かにデトモルトの日本人留学生で、ドイツには有名な鉄道模型があるのだと、部屋いっぱいにレールを敷いて鉄道模型を走らせていた先輩もいた。そんな鉄道ファンの気持ちがわからない山ちゃんは、W氏が鉄道でアンカラに行きたいと主張したのに対してバスで行きたいと主張した。鉄道では約3000円がバスでは800円位で行けたのだった。鉄道ファンを主張したW氏に対して山ちゃんは貧乏旅行を主張して、それならと別行動を提案した。それに折れた形で山ちゃんたちはバスでアンカラへ行く事になった。これを見ている人は、たかが3000円ではないかと思われるかもしれないが、
イスタンブールでのちょっと贅沢なホテルが2500円で泊まれ、食事は数百円でご馳走に授かり喉が乾けばペプシコーラ(トルコはペプシばかりだった)が
40円くらいで飲めたし、チャイというお茶は20円だった。だから山ちゃんにとって3000円の鉄道は大変高く感じたし、トルコの人たちも鉄道は贅沢だったのだ。その後何人かの鉄道ファンに会った現在では鉄道ファンだったW氏の気持ちがわからないでもない。たかが3000円だった。少しだけ後悔しているそうだ。多分山ちゃんの貧乏旅行の価値観よりW氏の鉄道への価値観の方が圧倒的なものだったに違いない。そんな意味での「たかが3000円」だった。後悔している(ほんまか〜?ルナ)だからバスの旅は素晴らしかった、としか言いようがない。バスはなんと立派なヨーロピアンバスだった。いわゆる長距離の観光バスと同じだと思っててもらいたい。ただ違ったのは、空調の装置があったのにクーラーが入っていなかった事だ。バスは前と中ほどのドアを全開にしたまま一般道を滑走したのだった。しかも一般の車までどんどん追い越して行った。時々車掌が何やら液体を掌に配りにきた。香水ではないが、スースーして気持ちがよかった。これで暑さをしのげという事だ。
 数年前トルコで悲惨なバス事故があったが、山ちゃんはすぐに納得できたそうだ。ようするに、日本で高速道ドアを開けっ放しでぶっ飛ばしているバスを想像してもらいたい。しかもそれが一般道だったのだ。
こうして何とかトルコの首都アンカラに到着した。