山ちゃんの初舞台はオペラハウス


(ここはライヴィッチハウス!ルナ占領する)
 山ちゃんオーケストラデビューの前夜、酒盛は当然だがその前にする事があった。明日演奏する『劇場支配人』の1場面で実際に楽団が舞台に上がって演奏して、そこでバレリーナが踊るという演出があるのだった。(普通オペラではオーケストラはオーケストラピットという舞台下に隠れて演奏するのだそうだ)
その時は自由な服装で演奏してくれ、との指示だった。山ちゃんは学生寮に帰って仲間にそれを伝えると、頼みもしないのにみんながいろいろと服装を演出してくれた。その結果中国人のような日本人のような怪しいペテン師のような楽師の格好になった。山ちゃんは、とにかく初めての体験だったので、遊ばれているとは思ってもそれを否定する根性はなく、結局その格好で翌日舞台に立ったそうだ。
 そこでちょっとした事件がおきた!舞台へ上がったのはオーケストラメンバーのうちヴァイオリン2名ヴィオラ、チェロ、オーボエファゴット各1名それに山ちゃんだった。演出ではそのメンバーが実際に舞台上でモーツァルトの舞曲を演奏し、一人のバレリーナがそれに合わせて踊るのだ。リハーサルではそのバレリーナが一輪のバラを持って楽団員の周りを弄ぶように舞っていた。実際の本番でも、山ちゃんたち楽団は舞台で演奏してバレリーナは踊っていたのだが、何を思ったのか?そのバレリーナ一輪のバラを持って、怪しい格好の山ちゃんの前にひざまづきプロポーズするようにそのバラを差し出した。山ちゃんは当然パニックになった。「おいおい、リハーサルではそんな場面なんかなかったぞ!どうしたらいいんだ・・・とりあえずバラを受け取ろう・・もしかしてこれは本当のプロポーズ・・?」そして、山ちゃんはバラを受けとった・・・つもりが、そのバレリーナさっと山ちゃんの手をすりぬけてバラを持って去って行った。会場は爆笑の渦になった。結局怪しい楽師山ちゃんはいい笑い者になっただけだった。
 初オーケストラ出演を無難に終えた山ちゃんが寮に帰ると、みんなが拍手と笑いで迎えてくれたそうだ。