オーケストラは楽し


(お散歩も雪遊びも楽し〜い❤)
 山ちゃんはいよいよドイツで初めてのオーケストラにのる事になった。アヒレス先生が「モーツァルトのオペラだ。」と言ったのだが、曲名は山ちゃんには理解できなかった。ただ、『魔笛』『フィガロ』『ドン・ジョバンニ』などの単語は聞かれなかったが、楽譜を頂けるのを楽しみにした。
 頂いた楽譜はオペラのわりには短く、山ちゃんは少しがっかりしたが、曲は『劇場支配人』というコミカルな小オペラの傑作だった。
 山ちゃんは指定された時間に、大学内にある音楽ホールへ練習にでかけた。いきなりビックリしたのは、日本の音楽大学ではオーケストラ練習のセッティングは学生が(特に後輩)みんなで椅子を運び並べ、ティンパニなどの打楽器などを運んだり手伝うのだが、ドイツのオーケストラ練習はすでにきちんとセッティングされていた。学生たちは思い思いにやって来て楽器を出して、音出しをしたり練習したりしている。山ちゃんも初めてだったので早めにやって来てセッティングの手伝いも必要なかったので椅子に座って練習していた。隣にオーボエの女子学生が座ったので「セッティングはいつやったの?」と尋ねると、「いつかわからないけど、あそこの男性がすべてしている。」とその学生は答えてくれた。さすがドイツである。セッティングもプロのスタッフがいたのだ。合理的だ。
初練習は大変楽しかったらしい。フルートは山ちゃん一人だったようだ。弦楽器も人数は少ない小編成のオーケストラだったが、モーツァルトらしい軽快な楽しい曲であった。もちろん初日はオーケストラだけの練習で歌手はいない。そんな練習を2回して歌手との総合練習があり、いよいよ本番を迎える事になった。
隣のオーボエの女子学生はいろいろと親切に話しかけてくれた。本当は最初から説明されていたであろう事も、そのオーボエの学生から小出しにいろいろと聞かされた。本番は大学の音楽ホールではなくデトモルトの町の中心にある歌劇場(オペラハウス)で行われる事や、当日はオペラの中で実際に楽団として舞台に上がって演奏するメンバーになった事などなど・・本当に親切に教えてくれた。(日本でも人の話を聞かない山ちゃんだが、ドイツでもだったか・・・ルナ)
 とにかくこうして本番を迎えたのだった。