魅惑の宮殿❤アルハンブラ


(ルナピンスキーもイスラム様式よ❤)
 山ちゃんがヨーロッパへ来て2年になる。その間見聞してきたヨーロッパ文化、つまり神に近づくべく縦に構築された大聖堂や宮殿に少しばかり辟易していた山ちゃんは、自然に一体となった建築、そして派手な装飾を控えた内部のセンスに感動したアランフェス宮殿よりも、さらに感激したのがアルハンブラ宮殿だった。名曲によってその名前しか知識がなかった山ちゃんにとって、今まで見てきた宮殿と全く違うその建築構造に興味津津好奇心に火が付いた。
 簡単に言うとアルハンブラキリスト教文化ではなくイスラム教文化だった。アラビアンナイトに出てくるような王様が住んでいた宮殿だったのだ。建物は空に向かってそびえるのではなく、横の空間に広がっていた。広い回廊にバランス良く宮殿が建っている。
イスラム様式の装飾も見事だった。多様で立体的なアラベスク模様は圧巻であった。王宮内のある建物は、
正方形で30畳位の広さだった。(王宮内の建物としては決して広いとは感じない位だった。)中心には噴水があって、基本的には平屋の造りだが内バルコニー的な物が2階部にあった。つまりバルコニーが建物の内部に向かって付いていたのだ。係員が説明してくれた。「ここは女性が匿われた建物で、王様がここへやって来た。噴水は艶かしい声を消すためにあり、2階のバルコニーには楽隊が演奏していた。楽隊はその情景を見えなくするために全員盲目にされた。」と。
演奏家を目指していた山ちゃんにとって、最後の盲目にされたとの件はショックであったが、音楽家なんて所詮そんな存在でしかなかったのだ。これはキリスト教文化でも同様であったのだ。噴水に象徴されるようにアルハンブラは宮殿の敷地いっぱいに噴水が配してあって、今でいう宮殿全体がパワースポットであった。と、山ちゃんは言っている。
 アルハンブラの感動を胸に山ちゃんたち一行は次の目的地、セルビアへ向かったのだった。山ちゃんの頭にはロッシーニの「セルビアの理髪師」の軽妙なテナーのアリアが浮かんでいた。フィガロフィガロフィガロフィガロフィ〜イ〜ガロ!単純な頭だ!(ルナ)