トレド散策記


 山ちゃんは言う「今までの旅行で一番よかったのは、何と言ってもローマ!ローマは何回行っても飽きない。」実際山ちゃんは留学中に2回帰国後も家族で3度もローマへ行っている。そしてこう言っている。
「どこの国がいいか?と訊かれたら即スペインと答える。」そのスペイン旅行の醍醐味がこれから続くのだそうだ。
 マドリッド観光はプラド美術館を中心にして1日街をブラブラすれば十分だった。マドリッドから列車で約1時間弱移動すれば古都トレドに着く。トレドは個性的な街だ。トレド駅から歩いてすぐに街の全容が見渡せる。トレドの街は大きく蛇行した川の半円の中にそびえるように存在する。そびえると表現したのは、川から盛り上がった大きな丘に、所狭しに家々が建ち並んでいた。その街の中心、つまり家が建ち並ぶ小さな山のような丘の頂点に大聖堂がそびえ建っている。
そしてそれ以上に存在感があるのがアルカサールという大きな城塞だ。まるで大きな外堀に囲まれた日本の城下町のスペイン版だった。有名なギリシアの画家エル・グレコはこの街に住んで多くの作品を生み出したのだ。そのエル・グレコ美術館を観賞して街を散策しただけで十分スペインを、中世を堪能できた。大聖堂前の小さな広場で女性が演奏していたギターの音色がスペインへいる事を実感させてくれたのだった。
その日はトレドに泊まらずにマドリッドへ戻った。そして次の日、いよいよギター協奏曲で有名なアラフェンス宮殿、ギターの名曲アルファンブラ宮殿を尋ねるべく山ちゃんたち一行は南へ向かう列車に乗ったのであった。