スリにあわない方法


(こんな顔にご用心!)
 デトモルトを出発する前に、山ちゃんは同行する事になったY君とHに以下の旅行契約をさせた。
その1、とにかく貧乏旅行である。よって贅沢はしな    い。当然レストランもなるべく行かない。
その2、とにかく歩きたい。よって町中のバスでの移    動は控えたい。タクシーはとんでもない。
その3、泊まりはユースか安い宿にし、できるだけ
    夜行列車を利用して宿泊費を節約する。
 さて、あとはスリなどのトラブル対策である。
山ちゃんは彼らにいつも実践している事を説明した。
「スリは狙われたらもう防ぎようがない。肝心なのは
 狙われないようにする事だ。それには財布を大金用 と買い物で使う小金用とに分けて使う事。それによ って第3者になるべく大金を見せてはいけない。」
そして次のように提案した。みんなで事前にある程度お金を出し合って共通の財布を作り、食事や移動など共通のお勘定はその共通の財布から出そう、と。
これは本当にうまくいった。パリは当時治安が悪く結構スリ被害が多かった。実際山ちゃんはこんな経験をした。
 山ちゃんが印象派美術館の前で並んでいると、そこへヨーロッパ系でない顔立ちの小学生高学年位の子供たち5、6人が新聞を広げて何か言いながら近寄って来た。多分新聞を買ってくれと言っているのだろうが、山ちゃんは思い出した。新聞を広げて見えないようにしてスリをする子供たちがいるという情報を!「やばい!」と思った山ちゃんはポケットに手を入れた・・・時には子供の手がすでに山ちゃんのポケットの中に入っていた。山ちゃんは「こら!」と日本語で叫びながら子供たちを追い払った。
 とにかくそんな経験からのスリ対策がよかったし、何よりHがフランス語をじゃべれたのでパリの一日観光は無事に楽しく過ごした。そして一行は夜行列車でバルセロナへ向かったのだった。