山ちゃんの日本食のすすめ


(モナチンはこのくらいの部屋で満足ニャ〜)
 山ちゃんが住んでいた学生寮の部屋は勿論個室だった。廊下から部屋のドアを開けると正面に大きな窓があり二階だった山ちゃんの部屋からは庭の大きな木が見えた。この庭は結構広く仲間でフットサルのようなサッカーをするのに十分な広さがあった。部屋は狭かったが左にベットがあり、ベットの上に棚があった。山ちゃんはそこに小さなレコードプレーヤーを置き、楽譜やレコードを並べていた。右に机があった。部屋からドアに向かって左に小さな洗面所があり右に洋服を5枚並べるといっぱいになるような小さなクローゼットがあった。その部屋に山ちゃんは腰の高さくらいの冷蔵庫を置きその上に電気調理器を置いていた。だから山ちゃんは部屋で食事を作り部屋で食べていた。
寮には共同のキッチンや冷蔵庫があったし、レストルームもあったが、山ちゃんが台所にいるとみんなが嫌がるので部屋で料理をするようになった。なぜ嫌がられたかというと、山ちゃんはいつも日本食を料理していたので醤油や味噌の匂いが台所に充満していた。それを嫌がるドイツ人もいたのだが、決定的だったのは山ちゃんが鰯をさばいて、その無数の頭や内臓を流し台に置いて料理していた時だった。それはもう非難ごうごうで、みんなこの世の物とは思えないような物を見たような凄い顔をしていた。それをきっかけにして山ちゃんは冷蔵庫と電気調理器を部屋に持ち込んだのだ。醤油はドイツの小さな町でも売っているが、ドイツの中の日本人街と言われているデュッセルドルフに行った時に、日本食材店で醤油の3リットル缶や味噌やラーメンなど買ってデトモルトへ帰るのだ。だから山ちゃんはドイツで日本食を作るのが上手になったのだった。(お前、料理ではなくフルートは上手になっているのか〜?ルナ)