ベルギーでの街ブラ紀行(その2)


(ライヴィッチこそベルギー犬なのだ!)
 ブルージュのユース・ホステルに泊まった山ちゃんは翌朝遅めに、つまり外が薄明るくなってからブルージュの町を散策した。そんなに大きくないブルージュの町は本当に古都と呼ぶにふさわしい素敵な町だった。町そのものが中世の物語に出てくるようなレンガ造りの大きくない建物が建ち並んでいた。小さい美術館もベルギーの作品であろう有名な画家の物は無かったものの魅力的な作品が並んでいた。町の小さな川沿いで魚が売られていた。なんとカレイの一夜干しが売られていた。1枚300円程度だったので、お正月のご馳走用に3枚買った。
 ベルギーの首都ブリュッセルは大きな街だったが、パリみたいに圧倒されるような大きさと華やかさは無く、むしろ古き良きパリとはこんな雰囲気だったのだろうと感じさせられた。通りそのものが甘い香りに溢れそこらじゅうにチョコレートやケーキのお店があった。甘いものは興味のない山ちゃんは缶ビールを買って街の中心にある大きな広場、グラン・バレ?に行った。広場は作家ビクトル・ユゴーが「この世で一番美しい広場」と絶賛したのが説得力をもって山ちゃん目前に広がっていた。名物の生牡蠣を食べさせるレストランが建ち並んでいたが高級そうだったので、貧乏旅行家だった山ちゃんは、そのレストランを眺めながら広場に座ってビールを飲んだそうだ。
思った以上に素敵な旅行になった山ちゃんは大満足でデトモルトへ帰って行った。
 お正月のご馳走にと持って帰った「カレイの一夜干し」は帰った日に1枚食べてみた。本当においしかった。新年まであと一週間ある。山ちゃんは学生寮にいた親しい日本人の飲み友達に「正月はすごくおいしい物をご馳走する。」と約束した。そして迎えたドイツで初めて迎える新年、いや正確には大みそかの夜、新聞に包んであった「カレイの一夜干し」を開けた。そうなのだ、「一夜干し」は一夜だから「一夜干し」と言うのだ。もう何日経っているのだろうか、そこにあったカレイはガチガチに固くなってしまっていた。