セント・ニコラウスの日?


(セント・ニコラウスって誰?)
 12月になったばかりのある日の早朝、山ちゃんは寮の自室のドアを開けて外に出ようとしたところ、ドアの前に何やら包みが置かれてあるではないか。ふっと周りを見回したところみんなの部屋の前にも同じような包みが置かれている。持って入って包みを開けてみると中にお菓子が入っていた。山ちゃんが共同のリビングへ行きそこにいた学生に、あれは何かと尋ねたら、セント・ニコラウスのプレゼントだと言った。
山ちゃんはその時は何の事かさっぱり分からなかったが、セント・ニコラウスはニコラウスという聖人で、日本ではサンタクロースと呼ぶが、彼がくるのはクリスマス・イヴではなく12月5日だという事が、その日の夕方までにいろいろな人から教えてもらって理解できた。
 寮ではさらに楽しい事があった。クリスマスはみんな故郷へ帰ってしまって寮に残っているのはほとんどがヨーロッパ以外の外国人だけらしい。よって、そのさびしい外国人のために大学が主催して寮でパーティーをしてくれたのだ。もちろんクリスマス当日はみんないなくなるので、その前の土曜日に行われた。ただ飲んで騒ぐだけの学生パーティーだったが、学長が来ていたのには感心させられた。そして山ちゃんを何よりも喜ばせてくれたのは、パーティーの終わりに一人一人に配られたプレゼントだった。包みの中には、白ワインのフルボトルとおしゃれなタオルとたくさんのクッキーだった。山ちゃんはパーティー後に、甘党の人にはクッキーとワインを、女の子にはタオルとワインを交換してあげて?結局3本のワインを部屋に持ち帰ったそうだ。山ちゃんはそのワインを飲みながら、誰もいなくなるクリスマスに旅行へ行く計画をたてたのだった。このパターンは結局次の年もその次の年も同様に行われたのであった。(そうまでして酒がのみたいのかねえ・・・ルナピンスキー)