おもしろきリヴァでの講習風景


(こんな感じで聴講してもいいんだよ〜)
 さすがイタリアの講習会というべきか、日本では考えられないような講習会風景だったようだ。
 クルム先生と受講生の一人が当然前でレッスンを行うのだけど、その他の受講生は自由にしている。当然聴講のための椅子は日本の講習会みたいに整然と並べられていない。各自が自由な所で自由に聴講している。中には椅子に座らないで床に座っている聴講生もいる。後ろでは寝ている者もいるではないか。よく見るとアレキサンダー・テクニック助手のヨルゲンではないか。彼は時間があれば仰向けに寝転がって膝を立てた姿勢になっていた。もう一人の女性の助手クリスも同様だ。あの姿勢がテクニック?と思ったくらいだが、実際に彼らと行ったテクニックの実践はフルートを吹く姿勢に悩んでいた山ちゃんにとってはとても有意義だった。毎日のように彼らの助けで腕や足や首をゆっくりと動かしながらその時の筋肉の動きや使い方を知覚していく事ができた。
 山ちゃんはリヴァでの一週間、フルートレッスンや他の上手な受講生の聴講、アレキサンダーテクニックの実践、そして昼のコンサート出演や夜の先生たちのコンサート観賞、その後のユルゲンなどの仲間たちとの飲み。本当に充実した一週間だった。もちろん合間ではちょっとした余暇もあった。フルートクラスみんなでクルム先生と一緒に湖へ泳ぎに行った。日本の海水浴のようにみんなが敷物に座るのだが、山ちゃんの目の前で女の子たちがバスタオルを身体に巻いてその場で水着に着替えたのにはビックリドギマギしたそうだ。その夜はクルム先生の奥さんも合流して湖のテラスのパブで交流会をした。イタリア語が中心だったがみんな身振り手振りでジョークを言い合ったので笑いの絶えない楽しい会になった。
 講習会の終わりの日は、山ちゃんが仲良くなったイタリア娘アントネッラ、パオラ、ジョランダ三人ともキスをして別れた。ちなみに山ちゃんが女の子にヨーロッパの挨拶であるキスをしたのはこの時が初めてで最後になったのだ。