おもしろきかな寮生活(その3)


(ライヴィッチの部屋でくつろぐモナチン)
 6月から始まった『ルナピンスキーはかわいい女の子』も5ケ月目になる。私たちの変わり映えしない毎日と変わり映えしない面々(ライヴィッチやモナチン)など語る事も無くなってきた。そこで始めようと思っていた『ルナピンスキーのワンワン占い&ワンちゃんのしつけ方』の前にちょっとだけ書いてやろう思って始めた『山ちゃんのドイツ留学狂想曲(ラプソディー)』がまだまだ終わりそうにない。だってまだ、音大へ入学したての頃の話なのだ。いい加減に早く話を進めてくれよ〜山ちゃん!

 山ちゃんはドイツの寮生活では毎日自炊をしていたそうだ。学生食堂もあったようだが、自炊で基本的に日本食を作って腕を上げていたようだ。(フルートでもっと腕を上げんかい!ルナ)食材は本当に安くて、ジャガイモも5キロで200円程度だったりムール貝が鍋いっぱいで500円程度だったり生クリームが1パック100以下だったり何よりビールのロング缶がなんと60円で買えたのだ。(それで山ちゃんは大酒飲みになっていったらしい(練習せんかい!ルナ)
 ある日山ちゃんが共同キッチンで鰯をさばいていたら寮のみんなが凄い顔をして非難した。匂いと鰯の頭や内臓がダメだったようだ。あるドイツの女子なんて「ヒャー鰯がこっちを見ている!」と大騒ぎしていた。この時から山ちゃんは自室に電気コンロと冷蔵庫を内緒で持ち込む事を決意したそうだ。
 ある日山ちゃんは寮の仲間たちと「お国料理パーティー」をする事になった。とはいえ野郎どもが作った料理だったので、ドイツ料理もペルー料理もお世辞にも「うまい」とは言えなかった。ポーランド料理にいたっては山ちゃんの醤油を使おうとしていたくらいだった。料理はともかく夜遅くまで地下にある練習場でみんな盛り上がった。さすがに深夜になると上の部屋の寮生がうるさいと激しい口調(もちろんドイツ語)で文句を言ってきた。その人が古株の日本の女子寮生だったので、山ちゃんは次の日からずっとその人には頭が上がらなかったらしい。