山ちゃん、人生最大の失敗談。


(あ〜残念!って、こんな感じ〜?)
 山ちゃんは外国人のためのドイツ語講座に行って、フルートの同級生であるかわいいフィンランドの女の子と友達になった。どちらもドイツに来たばっかりなのでドイツ語は似たり寄ったりだった。それが山ちゃんにとっては親近感がもてた。(お前はそんな時こそドイツ人と友達になって語学の腕を上げんか〜!ルナピンスキー談)フルートの腕も山ちゃんの方が上だった。だから山ちゃんがその子とアンサンブルをしながらフルートの技術的なアドバイスをしたりした。その時山ちゃん23歳、イルメリ・ハルミオ(そのフィンランドの女性の名前)18歳だった。イルメリは高校を出て大学へ来たのだから若いのは当前だし、フルートも山ちゃんの方が上手かったのは当前だったのだ。
 その山ちゃん、調子に乗ってイルメリに日本食をご馳走すると言って部屋に誘った。イルメリは快諾したので山ちゃんは有頂天だった。メニューは考えに考えて、民族的にも好き嫌いがなさそうな串カツにした。
イルメリは喜んで食べてくれ、会話もそれなりに弾んだ。しかしである。山ちゃんが食後のお茶を用意している時にその事件はおきた。
 急にイルメリが静かになったので山ちゃんは振り返った。すると、イルメリはたくさんの楽譜が並んでいる棚の中からジョリベ(有名なフランスの現代作曲家)のフルート協奏曲の楽譜を見ていた。『ああそうか、楽譜にも興味はあるよな・・』と思った矢先、大変な事を思い出した。ジョリベの楽譜の間にはドイツの未成年者購買不可本(つまりエロ本)を挟んでいたのだ。山ちゃんシドロモロド(ドイツ語で)しながら
ごまかした。否、ごまかせなかったから、それ以降は
同じフルートクラスなのに挨拶だけかわす間柄になったそうだ。山ちゃんは誰もが興味を持ちそうにない楽譜を選んでその本を挟んでいたそうだ。今でもそれを思い出しては『ジョリベ事件』と呼んでいる。