これが「被り物の女王」、先代犬ムンだ!


マザー・テレサならぬマザー・ムン?)
 奥様は気まぐれに私やライヴィッチによく被り物をしてくれる。とっても迷惑なのだが誰も奥様に逆らえるような度胸のある奴はいない。山ちゃんもヘラヘラ笑いながら喜んでいる。この太鼓持ちめ!
 悔しいかな私よりライヴィッチの方がよく似合う。ライヴィッチが似合うと私も嬉しいが、本人は迷惑がってすぐに被り物を取りたがるので奥様に怒られハアハア言っている。私はおとなしくしているのだが「アラブのお姫様みたい」とよく言われる。枕言葉に「あらあらいやだ〜」が付くことでそれが褒め言葉でないのは明らかだ。それは私にもアラブのお姫様にも失礼ではないか〜?とひそかに呟く。最後は奥様の口癖である「ムンちゃんは似合っていたのにねえ!」でこの不幸な儀式は終わる。やれやれ私はため息をついてふて寝をする。山ちゃんは「ルナピンスキー災難だったねえ〜」なんて笑いながら言っている。災難だと思っているのなら早く助けんかい!
 奥様がムンちゃんの写真を見せてくれた。私と同じ女の子らしく『被り物の女王』なんて呼ぶこともあるみたいだが『プリンセス・ムン』とよく呼んでいたらしい。まあまあ可愛いからそう呼ばれていたのかと思ったらそうではないらしい。まあそうだろう納得だ。
だって私の方がずっと可愛いし性格もいいしプリンセスにふさわしい。ぜひとも『プリンセス・ルナ』と呼ばれたい。わかったか?山ちゃん。