ルナピンスキー、用心棒に無理やり任命される。


 昨晩山ちゃんが酔っ払って帰ってきた。こんな時は歓迎して出迎えても、寝たふりをしても同じだ。ようするにしつこく絡んでくる。まずライヴィッチに絡んで飽きたら私に絡む。飽きたらさらにモナチンを探しにいく。ところが今晩はいつもと違った。なぜか私にばかり絡んでくる。しかも耳元で愚痴ってきた。なにやら墓地組合の総会があったらしい。山ちゃん以前に墓地管理者の女性から騙されそうになったらしい。女性に墓地代金を払ったのちに、組合長の男性から「女性が勝手に売ったので無効だ」と電話があったらしく、山ちゃんが女性を訴えると言うと組合長から、入金があったので許可する旨の連絡があり事は収まった。山ちゃんが今日の総会後の親睦会でその話をすると、10年前から同じ被害を受けた人が何人もいて、現在は訴えられているらしい。しかもその女性が親睦会の舞台で歌ったり踊ったりしていたそうだ。山ちゃんは組合長と役員に、おかしいじゃないか!と文句を言って帰ってきたらしい。で、帰りながら山ちゃんの妄想はふくらんだ。「女性が墓地代金を詐欺しようとしたり横領していたのを知っていながら何故、組合長は女性を解雇しなかったのか?もしかして組合長はヤクザで女に横領させ自分の懐に入れていたのではないか?するとその事実を知って文句を言った僕の身は危ないぞ!」ただでさえ妄想癖のある山ちゃんが酔っ払うとその妄想が暴走する。山ちゃんが帰ってきて私に絡んで愚痴ってきたのはそんな訳だった。で、最後に「ルナピンスキーお前だけが頼りだからな!今日から用心棒にしてやるから僕と家族を守るんだぞ!」と言いながら寝た。お前が守らんかい!