仔猫騒動記(4)

ある日アルファたちが店の入り口で餌を食べているとコゲが2匹の仔猫たちを連れてきた。仔猫たちは一緒にお姉ちゃんたちに交じって食べ始めた。するとアルファとジジは一歩下がって仔猫たちに譲って温かく見守った。するとコゲはその様子を見てアルファに目を送ると静かに去っていった。そうなのだ!コゲは恨めしそうに僕を見ていたのではなくアルファ、そしてルドルフ、ジジの生きる方向を見守り、そして仔猫たちがここで食っていけるのかを確認してアルファに任せて去っていったのだ。僕は感動した。でも少し杞憂している。コゲはうちで餌は食べれていない。となるとどこかで餌にありついているのだろう。という事は、また屋根裏で出産するのだろうか・・・そして何匹かは亡くなり何匹かはこうして僕の目の前で餌を食べるのだろうか・・・今目の前で餌を食べているアルファもおそらく牝であろうルドルフもこのままうちで出産するのだろうか・・・その日深夜2時頃店出ると道路に猫が倒れていた!アルファたちの兄弟で時々姿を見せていたコゲに似た猫だった。車にひかれたみたいだった。見た目で外傷は無くまだ温かかったが、虫の息だった。最後まで一緒にいたお客さんがその猫を抱いた僕を車で自宅まで送ってくれた。すぐに動物病院に電話したがさすがにそんな時間では応答がなかった。僕はとにかくその猫にイプシロンと名前を付けてやった。ドイツ語のYだ。僕はイプシロンをだきしめながら毛布の中で一緒に寝た。目の前にイプシロンがいる。改めて見るとカイそっくりで別嬪さんだった。鼻血が出て口の中も血が溜まっていた。おそらく内臓を痛めていたのだろう。僕はずっと「イプシロンイプシロン、Y,Y,Y.・・・」と囁いた。しかし、イプシロンはだんだんと冷たくなり、朝には硬直した。(合掌)