フランキスト(2)


(フランク?・・・ブランク?・・・)
 目の前にピアノ奏者がいる。しかも若い。僕の娘くらいの若さだ。そのピアニストと去年フランクのヴァイオリンソナタをフルートで演奏した。その縁で、今年も若干だが一緒に演奏する機会がある訳だが、・・その彼女曰く、「フランクが好きだと聞いて演奏者に選んだ。」だって。僕は覚えていなかったが本当にたまたまその時はノアの5人にフランクが入っていたのだろう。人生とは?縁?なんてわからない。それがなかったら目の前の若いピアニストと一緒に演奏するような事は無かったかもしれないのだ。実際その後ベートーヴェンのスプリングソナタを演奏したし、今後プロコフィエフソナタをする予定になっている。だとしたら僕のノアの方舟の4番目はフランクに決定しなければいけないのかもしれない。いや4番目を決めるのならモーツァルトだろう。だとしたらフランクは5番目で確定だ。あ〜あ、ノアの5人は決まってしまった。他の作曲家に浮気する余地が無くなった訳だ。
 フランクは僕に希望を与えてくれる。彼は50歳過ぎてから名曲をたくさん創作した。つまり僕にもチャンスが残っている訳だ。実際に今エッセイ的にだが作曲を始めている。きっかけはフランクかもしれない。
 フランクの交響曲は本当に素晴らしい。前回ベルリオーズの幻想ショックの話をしたが、それを凌駕する神々しさと気品がこの曲にはある。くしくも同じ頃、サン=サーンス交響曲「オルガン付き」ができたのも、ベルリオーズショックから解放された証だったのだろう。僕の話はまとまっていないがフランクの交響曲はとにかく素晴らしくまとまっている。