パオラの裏切り?(2)


(私は裏切らないわよ〜)
 謝肉祭のある日、キアーラは決心した。パオラへの疑念を晴らす為に、彼女を試す事にした。
 キアーラはパオラの部屋を訪れた。キアーラはパオラのベッドの上に持参した物を置いた。パオラはそれが何かはすぐに理解した。なぜならパオラこそ、それがキアーラにとっていかに大事な物であるかをよくわかっていたからだ。どうしてそれをここに?戸惑った顔をしているパオラにキアーラが優しく言った。
「パオも、もう大人なんだから謝肉祭を楽しんできたら?別に無理して恋人をつくらなくてもいいのよ。これを被って雰囲気を楽しむだけでもいいじゃない。それに、これを被るだけで自分が自分で無くなって、大胆にもなれるし、性格も身分も変えられるのよ。そう、女王様にもなれるの。楽しいわよ。ぜひこれを被って街中へ行っておいで。」
 キアーラは自分が使用していた謝肉祭用の仮面とヴェールとマントを置いてパオラの部屋を出た。
 もしパオラがそれを被ってアントニオに会おうものなら、彼は仮面の中の顔を見てびっくりするだろう。それがパオラだとわかった彼は一体どうするだろうか?パオラだって、キアーラだと思って自分に接近してきたアントニオにどう対応するのだろうか?
 キアーラは祈った。純真な気持ちで神へ祈った。あの仮面がキアーラの運命を導いてくれるはずだ。【調和の霊感】の仮面が。