ヴィヴァルディ、ピエタに現れる(2)


(ルナピンスキーひっくり返る)
 ヴィヴァルディはすぐに曲を創作していった。まず、ヴァイオリン2本と伴奏楽器チェンバロにチェロを伴った楽曲を作っては次々と持ってきた。そして皆に言った。
「これはトリオソナタだ。この曲は君たちの大事な練習曲になる。練習曲で必要な基本的な技術は音階と分散和音だ。この曲を皆が練習すれば、基本的な演奏技術が身について必ず上手になる。演奏技術の向上が結果的には、このトリオソナタを音楽的に楽しんで演奏できるようになるのだ。それが音楽というものだよ。」
 ヴィヴァルディは毎週のようにトリオソナタを作曲してはピエタに持ってきた。最終的には12曲のトリオソナタが、作品1として残った。一つのトリオソナタは(遅い・速い・遅い・速い)の4つの楽章になっていたので、練習曲としても結構な数にのぼった。