卒業するという事


(暑い日は水遊びが最高だよん)
 ドイツの音楽大学は1年中卒業試験をしている。正確に言うと、開校期間中のデトモルトは確か火曜日と木曜日の夜に卒業試験のコンサートを、次の日の午前中にレパートリー試験が行われていた。1日に2名が卒業試験を受けるので毎週4名が卒業していく事になる。ちなみに日本の音楽大学では、少なくない例外を除いて、入学から4年たってほとんどの者が同じ日に行われる卒業試験を受けて卒業していく。
 ドイツでは何年で卒業だと決まっていない。2年で卒業していく者もいるし8年いる者もいた。しかも、早く卒業するから上手だとは限らない。さすがに個人主義の国だ。自分のペースで勉強し自分のペースで卒業していく。これが本来の勉学の姿なのかもしれない。むしろ日本みたいに全員で入学して卒業していく方が不思議なのかもしれない。さすが農耕民族的集団主義という事だろう。
 さて、ドイツでは卒業したいと思ってもすぐに卒業できるものではない。年間の半分は休みなので1年間で卒業していく人数は1カ月16名程度でその6倍くらいの人数だ。だから早めに卒業試験の日を予約しておかなければならない。でも勝手に予約はできない。
当然だが、教授と相談しなければならない。教授も自分の弟子が卒業試験に落ちたとなると沽券にかかわるので、卒業試験を受けさせてもらえなかったというケースも少なくない。
 さてウィーン、ハンガリーチェコ旅行からデトモルトへ帰って来た山ちゃんは、いよいよ卒業試験を受ける相談をアヒレス教授にする決意を固めた。