ドイツの冬はやっぱり寒〜い!


(ルナピンスキーは冬が大好きだ〜!)
 今年はヨーロッパは大寒波のようだ。もっともドイツの冬は毎年寒かった。11月に決まって一度寒波が来て雪が降る。積もった雪はそれがその冬の根雪になり春まで溶けない。外気はいつもマイナスだった。だいたい−4度ぐらいだった。寒い時には−8度くらいに下がる。滅多にマイナスなんてならない所に住んでいた山ちゃんが想像すると、マイナス4度なんて信じられないくらい寒そうなのだが、実際に体験すると想像するほど極寒ではなかった。−8度にしたって同様だった。多分空気が乾燥しているからだろう。山口で体験するマイナスの方がはるかに寒く感じた。ただ、風が吹くと寒さが痛いように身に染みてきた。
 3年間で1日だけ−18度という時があった。これは本当に寒かった。歩いているだけで息ができないくらい苦しかった。鼻水が出てすぐ凍った。鼻の奥にまで凍ってきた。寮の入り口のドアノブに手を掛けると接着剤に触れたように手がドアノブに貼りついて、それを無理やり離すと手の皮が剥がれたかのように痛かった。でもこれは特別であり、普段の冬は外套だけしっかり着ておけば外出は問題ないし、建物の中はどこも完全暖房だった。だから山ちゃんは1年中部屋の中で同じ布団で裸で寝ていた。
 さすがに冬は城の堀も凍ってスケートを楽しむ者もいた。大学内にある小さな噴水も凍った。そこを通る時、学生たちが楽しそうな事をしていた。向うから助走をつけて来て凍った噴水へ飛び入る。するとそのまま滑って向う側へ渡って行くのだ。ある日山ちゃんも買い物帰りにやってみた。みんながやっているのと同様に、買い物袋を持ったまま噴水まで軽く助走をつけて飛び入った。とたんにツルっと滑って後ろへこけて頭を打った。とても痛かったが恥ずかしい感情の方が先で、周りを見回し人が誰もいない事を確認すると、散乱した買い物を袋へ入れて、心も身体もボロボロで寮へ帰ったのだった。